カブハル

攻撃が最大の防御なら、防御は最大の攻撃とも言えるのでは。

牛

14.株で確実にお金持ちになる方法。防御戦略

株式投資は、もちろん皆お金を増やすために始めるんだけど、ここにあるリスクが存在する。それは「実は私は絶望的に株の才能がないんじゃなかろうか」っていうリスクだ。で、このリスクは現実にあるかどうか分からない。だって、これから始めるんだもの。

さらに「途中までうまく行くけど、最後に大失敗する」可能性もある。たまたまラッキーだけで途中まで儲けたけど、結局株の才能なかったパターンだ。つまり、今のところ上手く行っているあなたも私も実は株の才能が無いかもしれないのだ。

じゃあ「実は株の才能絶望的にないリスク」に対してどう対応すればいいのか。それには、投資資金のある程度を「自分がもし絶望的に株の才能がなくても、バカでも勝てる株」、「確実に勝てる株」、「確実にお金持ちになれる株」に投資すればいいのだ。これを株の防御戦略とする。

私が子供の頃に存在した確実にお金持ちになる方法の話。

あれは私が幼稚園児の頃。親の知り合いの知り合いに、あるオジサンがいた。このオジサンは、サラリーマンの頃、給料が入るといつも東京電力の株を買ってた。新入社員の頃から定年まで、ただひたすら東京電力の株を買い続けたらしい。

というわけで、そのオジサンはお金持ちだったそうだ。そりゃそうだ。なんせあの東京電力だぜ?給料が入るたびに買い続けたんだぜ?配当金がもう尋常じゃないくらいに入ってきたんだろうな……。

そして現在。ご存知の通り、東京電力の株価は(東日本大震災の影響で)暴落している。じゃあ、オジサンの投資は失敗だったのだろうか?いいや、私が幼稚園児の頃にもう定年退職していたという事は、多分、今頃とっくに寿命で死んでる。東京電力の株価が暴落する前に。オジサンは死ぬまで金持ちだったのだ。オジサンの投資は成功だったのだ。

じゃあ、今東京電力の株を買い続けるとオジサンのように成功できるのか?できねぇよ。もう、かつて存在した確実にお金持ちになるこの方法は使えないのだ。

東京電力の暴落に対して私達が学ぶべきは「もう金持ちになる確実な方法なんて無い」……ってことじゃなくて「どんな優良銘柄でも、やっぱり一点集中投資は駄目だよね」って話だ。多分私達も働いてから死ぬまで「複数の優良企業」に投資しつづければ高い確率で小金持ちくらいにはなれるんじゃなかろうか。

で、このオジサンは東京電力の株を買うことで何を狙ったかというと、株価の値上がりではなく「配当金生活」を狙ったのだ。

「配当金」って知ってる?株を持ってるだけで、年に一度か二度、その企業がお金をくれるんだよ。普通は投資資金の1%とか2%で、高くても5%くらいしかくれない。中には配当金を出さない企業もあるけどね。うん、めっちゃ利率低いね。でもオジサンはこれを狙って、実際に金持ちになったのだ。

私達も、株の防御戦略では配当金狙いの株を買うことにする。これは、「とっととお金持ちになって、若いうちから働かなくても済む状態になる」ためのものではない。だって、利率が低いから、現実的にこれだけで若いうちにお金持ちになるのは無理だ。私達が、絶望的に株の才能がなくても、定年退職まで続けていれば、一応そこそこ、小金持ちくらいにはなってるかな、っていう本当に防御的な戦略だ。株の防御は投資用資金の25%を使うことにする。つまり、全投資資金の3割は現金。7割は投資用であり、この7割のうちの25%は防御用の銘柄、すなわち配当金狙いの株に使用する。

じゃあ、防御的な株って具体的にどんな銘柄に投資すればいいの?って話だけど、もちろん「配当利回りが高い株」……ではない

私達が買う防御的な株は「EPSが年々少しずつだけど上がっていて、配当金も年々少しずつ増えていて、かつ、少なくともあなたが死ぬまで成長限界が訪れない株」だ。こういう株は大抵割高だ。ROEもそんなに高くない。配当利回りはメッチャ低い。でも、私達が買うべき防御的な株は、私達が死ぬまで配当金を少しずつ増やしてくれる株だ。

配当金が増えている株

まず、現時点で配当利回りが高い株は大抵既に成長限界が来ていて、配当金は毎年同じ額を払っている。例えば配当利回りが4%なら、100円の投資資金に対して、あなたが死ぬまで4円しか払われない。

でも、私達は今配当利回りが低いけど、死ぬまで少しずつ配当金を増やしてくれる株を買う。例えば、今配当利回りが1%の株を買ったとしよう。100円の投資資金に対して、1円しか配当金は支払われない。そして一年後、その企業は少しだけ増配(配当金を増やす)するだろう。だって、その企業はまだ成長余地があり、利益が増えたので、増配する力はあるからだ。でも、その時のその銘柄の「配当利回り」はおそらく変わらず1%だろう。なぜなら、「配当利回り」というのは「現在の株価」に対しての配当利回りだからだ。「増配」を発表した企業は、多分少し株価が上がる。だから、配当金は増えるけど、配当利回りは同じ1%なのだ。

でも「現在の株価」に対しては1%の配当利回りかもしれないけど、「あなたが買った時の株価」に対しての配当利回りは1.5%くらいになってるだろう。増配しているんだもの。そう企業が成長する限り「あなたが投資した時点の株価」に対して配当利回りは増え続けるのだ。

10年後、配当利回りは高いけど成長限界が来ていて、まったく増配しない株の配当金は、「あなたが投資した時点の株価」に対して、変わらず4%しか払われないけど、配当利回りは低いけど、まだまだ成長余地があり、毎年少しずつ増配している株の配当金は、「あなたが投資した時点の株価」に対して、7%くらいの配当金が払われることになるだろう。しかも、あなたが死ぬまで成長限界が来ないという事は、今後さらに配当利回りは増え続けるのだ。

ユダヤ人にはお金持ちが多い。ユダヤ人は金融業でのしあがった。お金を高利で貸すだけで、ユダヤ人はお金持ちになった。でも、いくらユダヤ人でも「利息が年々高くなる貸付金」なんていう悪魔のような恐ろしいサービスはやっていない。そんな恐ろしい金融サービスがあったら、借りた個人は死ぬまで利息を払い続けるだろう。

でも、実は私達は誰でも、そんな悪魔のようなサービスで貸し付けできるのだ。それも、信頼のない個人ではなく、信頼のある企業に対して。それが先ほどの「少なくとも私達が死ぬまで成長限界が訪れない企業の株を配当金狙いで買う」ことだ。利息は増え続ける。なにこれ、もう私達確実にお金持ちになれるじゃない。

個人的には必ずしも毎年増配している企業じゃなくても、2年に一度くらいは増配している企業でも充分です。もちろん「毎年連続増配している企業じゃないと嫌だ!」って人はそういう株だけでもいいです。ちなみに、そういう株だけ見たいっていう人は「連続増配銘柄」とかいうキーワードでネットで検索したら、そういう株を一覧で表示してくれてるサイトがいくつか見つかるよ。でも、大事なのは「今までどれだけ連続で増配してきたか」じゃなくて、「これからあなたが死ぬまで成長して増配し続ける力があるかどうか」です。

さあ!早速あなたのネット証券でそういう銘柄を探すんだ!そして気づけ!!「こいつらメッチャ購入単価高ぇよ!!」

そうです。こいつらメッチャ株価高いです。そして、東京電力の反省から、一銘柄集中投資は駄目です。逆に、防御のためなのですから、むしろたくさんの銘柄のほうがいいです。たくさんの銘柄のほうがリスクが分散されますからね。そしてこれが、あなたの投資資金の25%に収まるように買うのです。

非現実的だと思いますか?もしかして私がめっちゃ金持ちだと思ってますか?違います。大丈夫です。我々には完璧な作戦があります。私達は、この防御銘柄を「単元未満株」で買います。

例えば2000円の株が100株単位で売っていたら、普通はこの株を買うのに2000 × 100で最低20万円いります。でも、単元未満株であれば、1株単位で買えます。そう、2000円で買えるのです。

多分、現在のネット証券のほとんどで単元未満株を買えるサービスがあります。単元未満株は、議決権はありませんが、配当金はもらえるっぽいです(単元未満株の保有で配当金や株主優待はもらえるか?)。そして、私達が欲しいのは議決権ではなく、配当金です。完璧な作戦だ!!

さて、お金の心配は無くなりました。可能であれば「連続増配銘柄」でネットで検索して絞られた銘柄から見繕うのではなく、実際に自分で全銘柄の情報を見てください。あなたが死ぬまで成長し、毎年とは言わないけど、二年とか三年に一度くらい増配してくれる企業を探してください。で、めぼしいものを全部リストアップしてください。で、全部買ってください。だって、銘柄が多いほど、リスクは減るんだもの。

で、基本的には防御銘柄は暴騰しようが暴落しようが売らないでください。だって配当金狙いなんだもの。ただただ少しずつ買って積み増すのみとしてください。ただし、もしあなたがファンダメンタルズ分析初心者なら「最初いいかと思ったけど、やっぱりこの銘柄駄目だな」とか「最初駄目かと思ったけど、やっぱりこの銘柄防御銘柄として買いたいぞ」ってあると思います。そういう時は増やしたり、減らしたり、入れ替えたりしてしまいましょう。だって、あなたは初心者だもの。でも、経験を積んでいったら、だんだんと防御銘柄を売ることはなくなるはずです。だって最後に残るのは経験値を経てあなたが残した選りすぐりの銘柄群だもの。

防御銘柄は概ね投資資金の25%です。ただ、これは私がなんとなく25%と言っているだけで根拠はないので、自分で考えて10%にしたり50%にしたりしても構いません。「っていうか防御銘柄だけ買えば良くね?」ってことで100%にしてしまうのもありだと思います。

ちなみに、防御銘柄の買い方ですが、もちろん複数銘柄買うのですが、基本的に全て同じ配分比率(1:1)になるように買ってください。

例えば、銘柄A 9000円。銘柄B 5000円。 銘柄C 1000円。の三種類をあなたが防御銘柄として買う際は、できるだけ1:1:1になるように……つまり、銘柄Aは一株。銘柄Bは2株。銘柄Cは10株買いましょう。そうすると、銘柄Aは9000円分(9000 × 1)、銘柄Bは10000円分(5000 × 2)、銘柄Cは10000円(1000 × 10)で、大体同じ価値になります。こうすることで、リスクが極端に一銘柄に偏ることを防ぎます。

現実には、株はものすごく動くので、綺麗に全ての銘柄を1:1に保つことは無理です。なので「おおむね1:1」になるように買っていきます。買い増す時も、できるだけ1:1になるように買い増します。

また、基本的には防御銘柄を売ることは永遠に無いです。死ぬまで持っていてください。配当金狙いなんだもの。防御銘柄というのはそういうものです。

お金持ちになる方法っていうのは「そりゃその方法やれば誰だってお金持ちになるわ!」っていう方法を淡々と実行することだと思います。

さて、前回のキャッシュポジションの話と、今回の防御銘柄の話で、あなたの防御力はそりゃもう鉄壁。よって無敵です。次回、15.株式投資。防御の重要性。