カブハル

損切りが大事なのは最初から知ってた。

牛

74.損切りを行わずナンピンのみで億を達成する人

ナンピン(難平)っていうのは含み損が出た時に追加で株を購入して株の平均購入単価を下げることで損失に対応する技術のことです。

さて株式投資の世界では、たまに損切りを一切行わずにナンピンのみで資産一億越えを達成する人が現れます。これは特定の誰かを指しているのではなくて、昔から時々現れるし、そしてこれから先も時々このような人が現れることでしょう。

この人の話をしよう。

この人がどうやってナンピンのみで億を達成するかというと、もちろん給料からの追加資金だけではなく信用取引も全力で行ってナンピンします。「損切り」などという技術は人生で一度もしたことがありません。

そして億を達成した後も引き続き、この「給料と信用取引を全力で行ってナンピンする。損切りは絶対にしない」という投資法で資産を増やそうとします。なぜなら実際にこの投資法で資産を億まで達成できたのですから。

しかし、あるとき給料でも信用全力でも対処できないどうしようもない巨額の含み損を抱え、ついに資産のほぼ全額を失います。これは比喩ではなくて、本当にマジで資産のほぼ全額を失います。場合によっては借金も作ります。

そしてその経験をした人が何を言うかというと「損切りは本当に大事!」「私ほど損切りの大事さを認識している人はこの世にいない!」というように、ついに私は投資の世界の真実を知った!くらいの勢いで損切りの大事さを語ります。

私はそういう人を見ると「資産一億超えというすごい経験をした結果、得たのが『損切りは大事』という、ものすごく基本中の基本の話なんだなあ」というなんとも言えない気持ちになります。

じゃあ、損切りの大事さを知ったこの人がその後また復活して大金を稼ぐかというと、こういう人がまた「復活して大金を稼いだ」という話を今まで一度も聞いたことがありません。

「損切り」というのは不思議な技術で、最初からできる人は本当に最初から苦もなくできるし、損切りができない人は本当に何年経ってもできません。つまり「損切り」っていうのはある程度才能の部分があるんじゃないかという気がしています。

そして残酷な話をすれば、「一切損切りをせず、鬼のナンピンだけで含み損に対応する」という投資法を行なっていたこの人は、そもそも生まれつき「損切り」の才能がなかったのではないか。だから「損切りの大事さ」をようやく理解しても、実際に損切りを行うことができず、結局復活できなかったのではないか。

と思います。

次回、75.姉に教えた投資法