カブハル

なぜ株初心者は防御を考えなくてよいかと言うと、まだ守るに値するほどの資産を持ってないからです。

牛

35.株初心者は攻撃が足りない。株中級者は防御が足りない。

株初心者はプロスペクト理論さえ克服できれば(34.プロスペクト理論を克服しないと何も始まらない)、あとは資産を増やすための十分なリスクを取れば(29.充分なリスクを取ること)、資産1000万円の壁を突破できるだろう。特に投資初心者はほとんどがリスクを取らず、例え株で勝てるようになったとしてもお小遣い程度にしか増やさない。少なくとも総資産の50%を投資に使わないとお話にならない。株初心者は攻撃が足りない。

株の攻め方を理解し1000万円を突破してくると、投資家は二つの選択肢を迫られる。すなわち「このまま全力でリスクを取ったまま、資産億以上まで逃げ切るか」「暴落が来た場合に備えて、上がっても良し、下がっても良しのバランスの取れたポートフォリオに修正するか」の二択だ。

もちろん、どちらを選ぶかは人によって異なると思うが、私個人としては「暴落が来た場合に備えて、上がっても良し、下がっても良しのバランスの取れたポートフォリオに修正する」が正解だと思う。なぜなら「リスクを取って億まで逃げ切れ」ということを意味する投資格言は無いが、「まず生き残れ。儲けるのはそれからだ」という投資格言はあるからだ。株の暴落時、数千万、時には数億稼いだ投資家さえ退場するのは、彼らはきちんと暴落に備えなかったからだ。

「『株の暴落に備えて上がっても良し、下がっても良しのポートフォリオ』?そんなの出来るの?」と思われるかもしれないが、資産が3000万円、5000万円になってくると十分できる。例えば投資資金が3000万円として銘柄Aに1000万円。銘柄Bに1000万円。残りを現金として1000万円持つとするなら、これは十分「上がっても良し、下がっても良し」のポートフォリオだといえると思う。好景気が続くなら、銘柄Aと銘柄Bで十分その好景気の波に乗れるし、仮に暴落が来たとしても現金が1000万円もあれば十分対応できる。例えば、株価が下がった銘柄Aと銘柄Bを買い足してもいいし、全く別の銘柄Cを買ってもいい。もしくは500万円、500万円に分けて、銘柄C、銘柄Dを買ってもいいし、もしくは銘柄Cだけ500万円で買って、残りの500万円はまた現金で持っておいてもいい。現金1000万円もあれば十分下げに対処できる。

問題は、投資で1000万円以上稼ぐような人はポジポジ病(株ポジションを持ちたい病)になっている――「現金で持っているくらいなら、株を買いたい病」になっていることだ。ポジポジ病のあなたは「現金で持っていると、どうしても株を買ってしまうので、防御的な投資商品――例えば『債権』や『金(きん)』『仮想通貨』に投資するのはどうだろう?」と考えるかもしれない。でも、それを私はお勧めしない。

リーマンショックの時、株と逆相関のはずの『債権』が株と連動して下がったことが話題になった(株より動きは激しくなかったけど)。また、リーマンショック以後も、『債権』や『金(きん)』がもはや防御的な投資商品として信頼できないという話が時々出る。『仮想通貨』に関しては値動きが激しすぎて防御的な投資商品として信頼できない。つまり、あなたが「防御的な資産」として本当に信頼していいのは唯一『現金』のみなのだ。投資格言にもあるし。「キャッシュ イズ キング(現金は王様)」。

つまり、株式投資の防御において最大の敵は「現金で持っているくらいなら何かを買いたい」というあなたの心です。『現金で持っておけ。さもなくば殺す』と自分宛てにメモを書いて、パソコンの画面に貼っておいてください。

株中級者には防御が足りない。

次回、36.株の勉強方法とは