カブハル

「うちは社員に範馬勇次郎がいるので最強」
「それは格闘最強であって業績が最強なわけではない」

牛

46.ファンダメンタルズ分析初心者のための最強の銘柄の探し方

もしあなたがファンダメンタルズ分析初心者なら「PERとかPBRが小さい方がいい。EPSが段々増えているのがいい、みたいな初心者の知識しかないけど、ちゃんと自力で最強の銘柄を見つけられるんだろうか?」と不安に思うかもしれない。そこで今回は最強の銘柄の探し方を教えよう。

まず「PER」とか「PBR」とか「EPSが段々増えている」とかいう基本知識で、気になる銘柄をいくつかピックアップしよう。

次に、その銘柄の企業サイトを見てみよう。サイトの中に「IR情報」とか「投資家情報」とかいうページがあるはずだ。そのページを開いてみよう。おそらく「決算短信」とか「決算説明資料」とか「四半期報告書」とかの資料があるはず。どれでもいいから、その資料を開いて日本語の部分を読んでみよう。もしその企業が最強の企業なら「こんにちは。私は最強です」と書かれているはずだ。正確には書かれてないけど、はっきりと書かれている。

最強の企業の社長の気持ちになって考えてみてほしい。そもそもその社長は、自分の会社の株を買ってほしいと思っている。上場しているんだもの。皆が自分の会社の株を買ってくれたら株価が上がるし。株価が上がると、企業価値が上がるし。企業価値が上がると、銀行がばんばんお金を貸してくれるようになるし。銀行がお金をバンバン貸してくれるようになったら、そのお金を使ってさらに会社を進化させて儲かることが出来るし。

つまり、最強の会社は自分の会社が最強であることを隠すつもりは無い。むしろ積極的にアピールしたい。もちろん、投資初心者のような人にも自分の会社の株を買ってほしいと思ってる。でも、さすがにIR情報に「こんにちは。私は最強です」と書くわけにはいかない。だからその会社はIR資料の日本語の部分を書くときに「(こんにちは。私は最強です。なぜなら――)」と心の中で思いつつ、一所懸命に自分が最強である理由を説明してアピールしてくるはずだ。

例えば「参入障壁が高い」「事業領域が拡大し続けている」「対象事業が衰退産業で、うち以外皆撤退したので、残った利益をすべてうちがもらえる」「圧倒的シェアNO1で、2位以下を大きくつきはなしている」「独自のノウハウがあり、他社はマネできない」「うちほど安く商品を売ることが出来る会社は他にない」「うちほどブランド価値が高い会社は他にない」「ストック事業で利益が毎年積みあがる」「うちの事業内容と真正面から競合するライバルがいない」「ドラゴンボールを七つ集めた」「ゴムゴムの実を食べた」「自分の体に九尾が封印されている」「デスノートを拾った」「地元じゃ負け知らず。悪そうな奴らは大体友達」ってちゃんと明確に自分が最強である理由が書かれてる。

つまりこれは国語の問題だよ。学生の時にあったでしょ?「この時の筆者の気持ちを答えよ」。「この時の筆者の気持ち」が「こんにちは。私は最強です」である企業を選んで投資すればいいんだよ。

また、最強とまではいかなくても「こんにちは。私は優良企業です」とか「こんにちは。私は段々最強になりつつあります」とか「こんにちは。今までうちはダメだったけど最強になるための計画を立てました」とか書かれてたら、十分投資を検討するに値する。

また、これとは逆に投資をすべきではない悪い企業も、IR資料の日本語の部分を読めば大体わかる。IR資料の日本語の部分は、少なくとも嘘は書かれていないという認識で構わない。だから素直な企業は「うちはダメな企業です」ってきちんと書いてる。企業によっては嘘を書かれてはいないけど、肝心なことを明確に書かれていなかったりする。しかし、良く鍛えられた文系の人間なら、文章からその企業が隠したい事実が読み取れるはずだ。

例えば「業績回復の見通しが立たない」「今まで最強だったけど、状況が変化して最強じゃなくなった」「利益が減りつつあり、改善策も特にない」「競争が激化しつつある」「ブランド価値が下がってきている」「ライバル企業が強すぎる」「うちはもうダメだ」「いっそ殺せ」「働きたくない」「家にひきこもりたい」「私は何のために生きてるんだろう」「この世界が憎い」「人類は滅びるべきだ」「悪魔に魂を売っても構わない」「我が名はサタン。この世界を焼き尽くす」ということが読み取れれば、その企業は投資すべきではない企業だといいうことだ。

というわけで、例え基本的な知識しかない投資初心者であってもIR資料の日本語の部分を読めば投資すべき企業か投資しない方がいい企業かは大体わかる。だからIR資料の日本語の部分を読もう!

次回、47.もしや素晴らしい企業を割安で買うチャンスなど無いのでは