カブハル

株式投資は頭脳のゲームではない。

牛

25.株式投資は「ルール」と「我慢」のゲーム

株式投資は「頭脳」のゲーム、と言う人がよくいるけど、私の理解では株式投資は頭脳のゲームではない。今までカブハルで基本的なファンダメンタルズ分析の知識をお伝えしたけど、これらの知識で充分戦える。慣れないうちはとっつきにくいかもしれないけど、理解できない箇所というのはなかったと思う。

では、基本知識で充分儲かることが出来るのにも関わらず、株式投資で儲けられない人がいるのはなぜだろう?なぜなら「株式投資は頭脳のゲーム」ではない代わりに「株式投資はルールと我慢のゲーム」だからだ。株で儲けられない人は「ルールを守れていない」か「我慢が出来ていない」のだ。

株式投資を勉強している人は「プロスペクト理論」という言葉を聞いたことがあると思う。プロスペクト理論とは、ものすごく簡単に説明すると「人間は、本能的に損失を確定させたくないという性質があり、かつ利益はすぐに確定させたいとする性質がある」という理論だ。つまり人間は感情の赴くままに株式投資を行うと、損をしている株を損切せずに持ちっぱなしにしてさらに損失を広げてしまう傾向があり、かつ、まだまだ利益が伸びる可能性の株を利益が少ないうちにすぐに確定させてしまう傾向がある、ということだ。これは株式投資で失敗する人の典型的な行動だ。

そこで大事なのが「ルール」と「我慢」だ。「ルール」は損失を抑えるために必要で、「我慢」は利益を伸ばすために必要だ。

「ルール」に関しては短期投資の「損切り」を例にとって説明しよう。短期投資としてある銘柄を買って、見込み違いで損が出た場合「損切り」をして、損失が少ないうちに損を確定させるのは、短期投資の基本です。ただし、世の中には「損切りができない」という人が結構いる。つまり彼らは「ルールを守ることが出来ない」と言っているのだ。ルールを守ることが出来ないのに株式投資で利益を挙げられるわけがない。彼らの典型的な言い訳が「『損切り』をしようとしたけど、もう『損切り』とかいうレベルを超えて大きな含み損になったので、損切り出来ない」というものだ。"もし『損切り』をしようとしたのに、損失が巨大なものになってしまっていた場合は、損切りを諦めて、運を天に任せましょう。"という記述がある投資本が存在するなら教えてほしい。「損失が大きくなりすぎたら損切りをしなくてよい」というルールは存在しない。

あまり投資がうまく行っていない人は「ルールさえ守っていれば儲けられてた」と言い訳しつつ、儲けられないのは知識の問題だと誤解して、投資の勉強に精を出したりする。でも、株式投資は頭脳のゲームではなく、ルールと我慢のゲームなのだ。あなたが儲けられないのは、知識が足りないことに問題があるのではなく、ルールを守れないことそのものに問題あるのだ。たとえ天才のアインシュタインであっても、交通ルールを無視して赤信号でトラックの前に飛び出したら死ぬ。

「我慢」は利益を伸ばすために必要だ。100万円の利益を得られる銘柄を探せるAさんと、30万円の利益を得られる銘柄を探せるBさんを例に説明しよう。

AさんとBさんがそれぞれ株を選んで買った時、このまま二人共持ち続ける能力(我慢する能力)があったら、Aさんの方が大きな利益を得られるだろう。でも、二人共「1万円の含み益まで売らずに我慢できる能力」しかなかったら、彼らは同じ投資能力ということだ。だって、二人とも同じ1万円の利益だもの。これが仮に、Bさんの方が「10万円の含み益まで売らずに我慢できる能力」を持っていたら、投資能力はBさんの方が高いということだ。Aさんの方が良い銘柄を探す能力が高いとしても、実際により大きなお金を手に入れる能力はBさんの方が高いのだから。

もしかしたら、これを読んでいる人は「我慢くらいなら私も出来る」と思っているかもしれない。「我慢」とはつまり、株を買った後に「何もしない」ということだ。そして「何もしない」でいることは、とても難しい。「ここで何もしないでいるうちに、自分の知らないところで、もっと良い株が、もっと大きな値上がりをしているかもしれない……」そして皆、新たな銘柄を探し出し、利益が少ないうちにさっさと利益を確定させて、次の株を買うのだ。株式投資で「活発に動く」ことはとても簡単で「何もしない」ことはとても難しい。そして、株式投資で大きな利益を得るためには「何もしない」ことのほうが重要なのだ。

バフェットさんも言っています。「株式投資での成功のためには『辛抱強さ』は『知能指数』よりも重要かもしれない」。

次回、26.株式投資攻撃戦略。1000万円〜3000万円編