カブハル

私が勧めているのは2〜5銘柄への少数銘柄集中投資であって、一銘柄集中投資ではない。

牛

50.一銘柄集中投資は勧めない

私は集中投資推奨派ではあるけれど、一銘柄集中投資に関しては反対派だ。

もちろん、一銘柄に集中投資をする人は、その銘柄に関してめちゃくちゃ調べてリスクもすべて洗い出した上で投資していると思う。

確かに、その銘柄に対してのリスクが既に見えているのなら、リスクが顕在化しても「あー、リスクが顕在化しちゃったか」と、ダメージを負いつつもそこそこ冷静に対処できると思う。なぜならそのリスクを事前に想定し、そして対処法も事前に想定しているからだ。

でも、私が恐れているのは目に見えているリスクが顕在化することではなく、目に見えていないリスクが顕在化することだ。

例えば「社長が逮捕される」とか「関東大震災が発生する」みたいな「そんなリスク、そもそも予知のしようがないだろ」っていうのが株の世界ではたびたび発生する。なぜなら私達の世界は「株というゲームの世界」ではなく、「なんでも起こりうる現実の世界」だからだ。場合によっては第三次世界大戦さえ起こりうるだろう。

信用取引でうまく稼いでいた人が突然退場するときは、この「そんなリスク、そもそも予知のしようがないだろ」っていうリスクの顕在化によって一撃で退場する印象がなんとなくある。

このとき現物取引であれば、ダメージは受けるけど致命傷にはならない。

一銘柄集中投資の場合も、たとえ現物取引のみであっても「そんなリスク、そもそも予知のしようがないだろ」っていうリスクが顕在化した場合に致命傷になりうると思う。

一銘柄集中投資のもう一つのリスクは、その投資に失敗したときに自分が冷静ではいられなくなるリスクだ。

皆さんもご存知の通り、株式投資では冷静でいられなくなるほど損をする。株式投資関連の本として「精神」に関する本が存在するのもそれが理由だ。

人間は株で勝ちすぎると冷静でいられなくなるし、負けすぎても冷静でいられなくなる。そして当然、負けすぎて冷静でいられなくなる場合の方が危ない。ただでさえ資産が減っている状態なのに、冷静な取引判断もできない状態になっているからだ。株で負けが込んでいるのに、リスクを下げて一旦頭を冷静にさせるどころか、むしろ熱くなってリスクを上げる人が時々いるけど、これはどう見ても危ないやり方だ。

そしてこれを他人事とせず、当然自分にもその状態が起こりうると想定すべきだ。このとき、一銘柄のみに集中投資して失敗したら、冷静でいられなくなることが容易に想像できるが、例えば2銘柄への集中投資であれば、片方が大ダメージを受けたとしても、もう片方が無傷であるならば、ある程度の冷静さを保って投資判断ができるはずだ。

一銘柄集中投資で他に考えられるリスクとしては「その銘柄に惚れてしまう」リスクがある。

自分の投資銘柄に関しては常に客観的にみることができるのが理想の状態であって、基本的に投資家は銘柄に惚れてはいけない。

基本的に株を持っていると「なんとなくその銘柄が好き」になるものだ。それでも、できるだけ「客観的にこの銘柄を見なければ」と意識的に努力すべきだ。だが、一銘柄集中投資をしてしまうと「なんとなくその銘柄が好き」という気持ちが特に強く出てしまう。

ありがちなのが、確かに自分が投資した時点では魅力的な銘柄であったが、その後状況が変わって魅力的ではなくなったのに、自分がその銘柄に惚れてしまっているために「魅力が無くなった」という客観的な判断ができずに投資し続けて、結局大損する、というものだ。

以上が私が一銘柄集中投資に反対する理由だ。

だから最低でも2銘柄を持つことを勧める。1銘柄集中投資と2銘柄集中投資は大分違う。2銘柄同時に大ダメージを受けるリスクが顕在化することなんて滅多にない。

もし一銘柄のみに集中投資したいなら、キャッシュポジション(現金)もある程度保有し、その一銘柄に予期しないリスクが顕在化しても致命傷にならないようにすべきだ。

次回、51.2年かけて2倍になったら「いい感じだな」と思う