カブハル

ベターな銘柄がベストな銘柄になることは良くある。

牛

47.もしや素晴らしい企業を割安で買うチャンスなど無いのでは

私がファンダメンタルズ分析で株式投資をしようと決意した時、ふとこう考えたことがあります。「株式投資と言うのは私が生まれる前から存在しているし、素晴らしい企業がそんなに次々に生まれるとも思えない。もしや素晴らしい企業は全て上場し尽くしており、しかも適切な高値が既についてしまってるんじゃないだろうか……。つまり、もはや素晴らしい企業の株を割安で買うチャンスなど無いのでは!?」と。

これからファンダメンタルズ分析で株式投資をしようと考えている皆さんの中にも同じような心配をする人がいるかもしれないので、今日は皆さんがファンダメンタルズ分析投資を始めてから実際に経験するであろう「素晴らしい企業の株を割安で買う機会」というのを三パターン教えます。

  1. 既に素晴らしい企業だと広く認知されている企業の株が、なんらかの一時的な問題で割安になる
  2. 昔から上場している銘柄で、以前はパッとしない業績だったが、段々と業績が良くなってきており素晴らしい企業になりつつあるが、気づいている人が少なく、いまだ割安のままである
  3. 最近新規に上場してきた銘柄で、IRに「素晴らしい企業」ときちんと説明され、実際に業績も素晴らしいが、なぜか割安で放置されている

まず「既に素晴らしい企業だと広く認知されている企業の株が、なんらかの一時的な問題で割安になる」について。

恐らくファンダメンタルズ分析初心者の皆さんは「このパターンが一番多いのでは」と推測していることと思います。確かバフェットさんも「素晴らしい企業が割安になるのを忍耐強く待ち、ついに割安になった時に購入するのだ」的なことを言っていたし。

しかし、実際にはこのパターンは一番少ないです。下手すると私、このパターンを一度も経験していないかもしれない。皆さんには覚えていてほしい。マジで素晴らしい企業は、マジで滅多に割安にならない。

次に「昔から上場している銘柄で、以前はパッとしない業績だったが、段々と業績が良くなってきており素晴らしい企業になりつつあるが、気づいている人が少なく、いまだ割安のままである」について。

皆さんはおそらく「このパターンが一番少ないのでは」と推測していることと思います。しかし、実際にはこのパターンが一番多いです。

「なんでや!?PERとPBRの数字が小さい方がいい。ROEの数字は大きい方がいい。EPSはだんだん増えてるのがいい、くらいの知識しかないのに、こんなの見つけられるわけないやろ!」って思うかもしれません。いいえ。見つけられます。なぜなら、その基本知識だけで発見できるからです。あ、あと46.ファンダメンタルズ分析初心者のための最強の銘柄の探し方で説明した通り、IR資料もきちんとチェックしてね。

これはむしろ、逆になぜ投資経験が長い人の方がこの銘柄を見つけられないのかを説明した方がいいと思うので説明します。投資経験が長い人がなぜこれを見つけられないのか?なぜなら「以前はパッとしない業績」だった頃のことを覚えていて、「これ以前チェックしてダメだったから」との理由でちゃんとチェックするのを怠っているからです。しかも「以前、ちょっと問題がある事件を起こした」企業が、その後に素晴らしい企業になることが時々あります。

投資経験が長いと「以前業績が悪かった。問題ある事件も起こしてた」という先入観から真面目な業績チェックを怠るのですが、投資初心者の場合は「そもそも問題がある事件を起こしたことを知らない」「最近の良い業績だけをチェックする」結果、「なんか業績そこそこ良いし。そこそこ割安だし。買おう」となって、結果ちゃんと儲かります。

なお、気をつけてほしいのはこの時点ではまだその銘柄は「素晴らしい企業」ではなく、「素晴らしい企業になる過程」だということです。つまり、あなたが買う時点ではまだ素晴らしい企業ではありません。なので、実際はあなたは「素晴らしい企業を見つけた」とは思わずに「なんかいい感じの企業を見つけた」と思う事でしょう。「なんかいい感じの企業を見つけた」と思ったら積極的に買いましょう。

最後に「最近新規に上場してきた銘柄で、IRに「素晴らしい企業」ときちんと説明され、実際に業績も素晴らしいが、なぜか割安で放置されている」について。

これはなぜか時々あります。謎です。同時期に上場した、大したことが無い企業の方が割高に評価され、素晴らしい企業の方が割安に放置されることすらあります。謎です。

この企業も、皆さんの基礎的な知識――つまり「PERとPBRの数字が小さい方がいい。ROEの数字は大きい方がいい。EPSはだんだん増えてるのがいい」くらいの知識で見つけられます。IR資料はちゃんと読んでね。

また「『素晴らしい企業』とは言っても、今まで上場してなかったんでしょ?大したことないんじゃない?」って思うかもしれません。確かに「素晴らしい」は言い過ぎでした。正確には「なんかいい感じの新規上場銘柄」です。でも、大丈夫です。「なんかいい感じの新規上場銘柄」でも十分儲けられますし、「なんかいい感じの企業」が「素晴らしい企業」になっていくことも良くあります。また、ごく稀に「明らかに最初から全力で素晴らしい企業」が新規上場してきたのに、なぜか割安で放置されてることもあります。買いましょう。

私の現在の資産のほとんどは「素晴らしい企業」を買うのではなく「なんかいい感じの企業」を買うことで作りました。そして「なんかいい感じの企業」が「素晴らしい企業」になっていくことも良くありました。というわけで、ファンダメンタルズ分析初心者でも、基礎的な知識だけで「素晴らしい企業を割安の値段で買うチャンス」は充分あるので大丈夫。頑張って!

次回、48.株式投資では真剣ゼミでやった問題が出る